柿の木プロジェクトと植物の音楽のコラボレーション

「柿の木プロジェクト」をご存知ですか?

 

長崎の原爆を奇跡的に生き残った一本の柿の木があったのです。ただ、その半身は真っ黒に焼け焦げ、いつ倒れてもおかしくないほど弱っていました。1994年、長崎に住む樹木医の海老沼正幸は、弱った柿の木を治療し、「被爆柿の木2世」の苗木を生み出すまでに回復させました。そして海老沼は、この「被爆柿の木2世」の苗木を平和の象徴として、長崎を訪れる子どもたちに配っていたのです。それを知った現代美術家の宮島達男は、1995年、海老沼の活動をアーティストとして応援するため、展覧会で苗木を展示し、里親を募集しました。こうした過程の中、彼は「 時の蘇生・柿の木プロジェクト」というアートプロジェクトを構想、同実行委員会を立ち上げました 。」

「時の蘇生・柿の木プロジェクト」は、
平和と命の大切さを学ぶアートプロジェクトです。

 

1945年、長崎で被爆しながらも奇跡的に生き残った一本の柿の木。
その母木から生まれた「被爆柿の木2世」の苗木を
世界中の子どもたちに手渡し、
柿の木をテーマにしたアート表現をしながら育ててもらうものです。
アートには他者の痛みを想像する力、
新しい世界を創造する力が宿っています。
それは国や宗教、人種や言葉さえも乗り越え共感を与えるもの。
私たちはこの活動を、25年にわたって世界中で続け、
参加してくれたのべ3万人の子どもたちの心の中に
アートの種、平和の種を蒔いているのです。

(柿の木プロジェクトHP https://kakitreeproject.com/より)

 

 

ことの始まりは2020年に、イタリアで被爆2世の柿の木を植樹し、アート活動をしているDuilioさんからぜひ長崎で被爆した親木の奏でる音楽を自分の作品に活かしたいので協力してほしいとの依頼がありました。新型コロナのパンデミックがなかったら、ご自分で来日して柿の木の音楽を収録したいと希望しておられたようですが、日本側の協力者の加藤さんをご紹介いただき、加藤さんが長崎まででかけてバンブーで「柿の木の音楽」を収録してくださいました。その音楽がこちらの動画(柿の木の写真にバンブーで記録した音声をあわせたもの)です。

バンブーで記録した柿の木の音楽データはイタリアに送られ、現地のアーティストによって新しい作品として生まれ変わっているようです。現地からの報告によると、 作曲家のクラウディオ・ビネッティさんが⻑崎の被爆柿の⽊の録⾳から楽譜を作り、 ビブラフォン奏者の オルモ・チットさんが解釈して演奏したそうです。

そして現在はトレンツァーノ学校で、マテオ・ビアンキさんが作成した楽譜で⼦ども達が2世の柿の⾳楽に取り組んでいるそうです。 ドゥイリオ さんは柿の⽊の⾳楽をYoutubeで発表する予定で、⼩学校の2世の⾳楽が完成したら、サンタジュリア博物館の2世の⾳楽と、⻑崎の親⽊の⾳楽と、まとめてアップするとのことです。


イタリアの柿の木プロジェクトに賛同されている他の方々の映像も加藤さんにご紹介いただきました。

 

こちらはカシャーゴ郊外のモロゾーロという⼩さな村に2000年に植えた被爆柿の⽊2世の苗⽊の⾳楽で、アーティストのマヌエラ・マルティネスさんによって制作され、今回、映像とともに発表

されました。


ダマヌールの「music of the plant」
(おそらくU1タイプ)で2世の⾳楽を録⾳したそうです。本来は2020年の20周年祭イベント⽤に制作してくれた⾳楽なのですが、コロナ禍で延期され、今回、21周年に発表されました。

 

Youtubeの解説文が素晴らしいので引用させていただきます。

2000年にモロゾーロのマンゾーニ⼩学校で
受け⼊れた柿の⽊が奏でる⾳楽にのせて、平和と静寂への思いを込めました。

「柿の⽊が、すべての⼦どもたちや若者たちに、平和の価値や命の尊い意味を伝えるメッセージとなることを願っています。未来を担うすべての⼦どもたちや若者たちに、⽣命のメッセージを理解していただき、21世紀の平和を構築していただきたいと思います。限りない平和の夢を抱いて」

樹⽊医 海⽼沼正幸(⽇本、⻑崎)

時の蘇⽣・柿の⽊プロジェクト

 

 

 

 

こちらは現地の新聞記事の抜粋です。

 

カシャーゴの平和の柿のもう一つの 「遠く離れた」誕生日。長崎の原爆で生き残った種から生まれ、サン・ジョバンニ教会の庭に植えられたこの木は、3月18日で21歳になります。

 

カシャーゴ柿の木の21歳の誕生日に向けて、子どもたちが平和のメッセージを発信

 

モロゾーロの小学校の子どもたちと先生、そしてプロジェクトの名付け親であるアンニーヴァ・アンツィさんが、伝統を守り、希望の証を具体的に残すためにこのイベントを祝いたいと考えました。

 

2020年の柿の木プロジェクト20周年を祝うための準備はすべて整っていました。イベント、軽食、インスタレーション、場所の調整などは、市当局とアレッサンドロ・マンゾーニ小学校との連携で行われました。

 

アレッサンドロ・マンゾーニ小学校では、当時も現在も先生方の関心のおかげで、当初からこのプロジェクトを受け入れていました。パンデミックですべてがストップしてしまいましたが、組織的には止まることも諦めることもなく、イベントやお祝いの計画を立て続け、できる時まで延期しました。

 

そこで、誕生日の前夜、モロゾーロの小学校の生徒たちは、2010年にキッコ・コロンボが書いた柿の物語を見て、聞いていました。先生たちは、子どもたちが書いた希望の言葉を集め、木がその住まいとしたサン・ジョバンニ教会の前で、この複雑な年にもかかわらず、その足跡を残しました。

 

 

実はイタリアでは毎年広島・長崎の原爆で亡くなった人々のための追悼式典が行われているを私達日本人はあまり知りません。実際に被爆を生き延びた柿の木の二世がイタリアに渡って人々に大切に守られているのを知ることで、民族や距離を超えた「同じ地球上に生きるものとして大切な思い」が共有されているのを実感できて感動します。

そして、子どもたちにメッセージを伝える体験として、みんなでいろいろな作品を作るというアイデアはさすが芸術の国イタリアですね!

こちらは折り紙の柿の木プロジェクト。

 

カシャーゴのkakiの20回目の誕生日を(遠くからではありますが)一緒に祝うために、私たちはシンプルなkakiを作るためのチュートリアルを提案します。

 

折り紙で柿の木プロジェクト20周年をお祝いしようという動画です。バックに流れてい音楽も柿の木の音楽ですね!

 

このような植物に関係あるアート活動や、樹齢の大きな木々の音楽を記録したいというイベントや企画があれば、ダマヌール東京(damanhurtokyo@gmail.com)までご連絡くださいね!植物の音楽の趣旨である、人間と植物との調和的な関係のため、地球の調和的環境のための活動にはデモ機の貸し出しで協力させていただきます!

 

ではではCon voi!
(みなさんとともに!)

@AYU