うちゅうは だれが ふくらませているの?

現在期間限定で、毎朝8時から、AMラジオで『夏休み子ども科学相談』という番組が放送されている。
子どもの疑問に専門家たちが答える番組で、旭山動物園元園長や、心理学の研究者など、あらゆる方面からの質問に答えらるよう、万全の布陣で臨む。

「ゲームは なんで やめられないの?」という質問には心理学、
「ふねは なんで しずまないの?」という質問には物理学、
「トウモロコシの ヒゲは なんで あるの?」という質問には植物学の専門家が、実証された真実のみを噛み砕いて伝える。

毎日の楽しみとして、通勤途中に車で聞きながら、僕はもっと専門家を困らせる質問をしてくれる子はいないかと待ち望んでいた。
そして今日、小学校2年生の子から、待っていた質問がきた。

「うちゅうは だれが ふくらませて いるの?」

待ってましたー!!
「なぜ ふくらむの?」ではなくて「だれが」というところがミソだ。
さあ、学者さん。どう答える!?
僕は大いに期待した。

が、答えは期待したものとは違っていた。ビッグバンの説明から入ったのだ。
その瞬間、僕はラジオを切った。
科学相談だから当然の答えなのだけど、でも、そうではないのだ。
案の定、子どもは気のない「うん…」を繰り返し、質問は終わった。

もし子どもの自分が質問者だったら、求めるのはリアルではなく自分にとってリアリティのある答えだろう。
本当かどうかは重要ではなく、本当かもしれないと納得できればそれでいい。
少なくともその子の相槌に、納得の色は見えなかった。

僕のまわりに、この質問にリアリティをもって答えられる人は、残念ながらいない。自分も含めて。
もちろん科学的な根拠を並べることはできるし、スピリチュアルに飛ぶこともできる。
でも、ここで重要なのは、それに子どもが納得するかどうかなのだ。

子どもの身の回りにある言葉で、子どもが納得するよう答えを作る。
これができなければ、理解したと思い込んでいたものは、実は、誰かが作った言葉をただ覚えたにすぎないのかもしれない。

ごくごく自然に生まれた、宇宙への疑問。
ちょっと難しいかな。もう少し大きくなったらわかるよ。
だなんて、逃げちゃいけない。

CLIONE