岸和田にバラの歌声が響いた

8月12日土曜日、大阪府岸和田市立自泉会館にて、日本では最大規模の植物の音楽とミュージシャン&ダンサー(舞人)&映像作家のコラボレーションによるイベントが行われました。

 

きっかけは6月の夙川ワールドタイムスでの「五感が喜ぶ音楽会」に観客として参加されたラヂオきしわだの加藤さんから「次回はぜひ岸和田でイベントを!」との提案があり、意気投合した出演者たちによりSNSにて準備が進められました。題して「五感が喜ぶ音楽会〜植物の命の歌声を聞いてください」

 

自泉会館の二つの会場のアコースティックを活かした2部構成となり、また地元岸和田の薔薇「だんじり囃子」に植物の音楽装置を通して歌ってほしいとのアツいリクエストにより、第二章は植物の音楽を森の樹々の声にフィーチャーした物語を設定し、映像と即興音楽、即興の舞いによる表現のコラボレーションを極めたものになりました。

 

第1章「木にまつわる素敵な2つの物語の朗読会&イメージ広がる即興演奏の世界」

加藤くみ子・朗読

kackey@dabigtree・アフリカンジャンベ

MuCREATOR CHIYO・ピアノ

  

 

第2章 即興芸術家たちの音楽会「薔薇がうたう森」

岸和田の薔薇「だんじり囃子」・うた(Music of the Plantsによる)

MuCREATOR CHIYO・ピアノ(光の女神)

濱田直翔・ネイティブアメリカンフルート(風の精霊)

松葉智穂、橘小百合・ライアー(水の精霊)

kackey@dabigtree・アフリカンジャンベ(大地の精霊)

Naga MilleN・虹の舞人(水の女神)

MAE・虹の舞人(少女)

岡本まい(少女・映像のみ) 

小野ナオミ・映像&ストーリー監修

 

 

あらすじ:

 

ある夏の昼下がり、精霊たちが住む森に人間の少女が迷い込んでしまう。心がピュアな精霊たちにしか聴こえない植物のうたが、少女には聴こえたからだ。

 

少女は美しいうたに誘われて森の奥深くへと、どんどん入って行く。たどり着くと、精霊たちが大地を讃える音楽会を開いていた。精霊たちは、森への感謝を忘れないように、森の母体である大地を美しい音楽で清め守っていたのだ。

 

少女に聴こえた美しいメロディーは薔薇が歌っていたのだった。森を破壊する人間には見えないはずの精霊たちは、少女を音楽会の仲間に迎える。夢のような時間を精霊たちと過ごした少女は、いつしか眠ってしまう。

 

目覚めるといつもの森にひとり残されている少女。遠くで薔薇のうただけが静かに聴こえていた。 

 

40分にも及ぶ即興音楽と舞い、そして映像によるパフォーマンスは最後にすべての楽器と舞人が集まってクライマックスを迎え、その夢のような時間が霧のように覚めていくと、最後は少女と薔薇の音楽だけが残され、やがて薔薇も少女の挨拶に答えると眠りにつきました(実はハプニング!)。

 

出演者の衣装が白をベースにしているのは、映像が衣装に写り込んで様々な色彩をもたらす効果を狙ってのことで、いずれ公開される動画でそのビジュアルを堪能できることでしょう。

 

本当に短時間のリハーサルだけで、本番で最高以上のパフォーマンスができたのは、ほとんど初対面のミュージシャンと舞人の全員に、ストーリーの根底に流れる自然や目に見えない世界に対する共通の思いがあり、それを表現したいと日頃から望んでいたからではないか、と思われます。そのくらい本番の演奏は、熱気とともに出演者どうしのコラボレーションに心が通い合っている安心感がありました。

 

その後MuCREATOR CHIYOさんのアカペラから始まる「大地の歌」を会場の全員で歌い上げ、会場の熱気は最高潮に達し、このままこの素晴らしいコンサートは終了するかと思われたのですが、そのあとにダマヌールと植物の音楽に関するプレゼンテーションが行われました。

 

おそらく会場のお客様にとって、ダマヌールも植物の音楽も初めて聞く内容だったことから、興奮冷めやらぬお客様たちはスライドで表示されるダマヌールの映像に熱い視線を送っていました。特に感嘆の声が上がったのは「植物が運転する車」の写真でしたね!

プレゼンテーションのなかで、人類の神殿の芸術に関して「ごく普通の人々が、神殿を掘り、同時に自分たちの内面を掘ることによって、芸術家として変容を遂げていった」との説明をしました。

 

終演後、少女役の舞人のMAEさんから「日本では芸術というと趣味かプロになるかの二択しか無いように思われてしまうのですが、芸術が日常にあるダマヌールでの芸術のあり方にとても興味があります。」との感想をいただきました。

 

このMAEさん、森に迷い込む少女役を引き受けるにあたって15歳の少女を想定して役作りをされてきたために、誰からも10代の少女に見られていましたが、実は成人されていてお母様のみるんさんのバレエ学校で教えている歴とした芸術家なのでした。だからこそ、ダマヌールの芸術のあり方に注目されたのではないかと。

ほかの出演メンバーからもダマヌールのプレゼンに対して好評をいただき、アーティストたちのダマヌールのあり方やその芸術に向けた熱のこもった意識を感じることができました。

 

 

このイベントは、9人の出演者のほかに、出演者のご家族も含めた10名ものスタッフがサポートにあたっており、開場の設営から受付、お客様の誘導や販売物のご案内、映像プロジェクションや動画撮影、音響設備やライティング、そして会場内に設置した多数の植物の提供に至るまで、そしてほかにも多くの方々の助力・協力によって成功に導かれました。

 

特に会場内に運び込まれた多数の植物たちは、岸和田のバラが歌うのをずっとサポートしているかのようで、植物たちがお互いに我々には聞こえないメッセージをやり取りしているようにも感じられました。

 

そういった多くの人々の思いを結集したこのイベントは、企画者、出演者、お客様のすべてに満足いただけた素晴らしいイベントであったことを報告させていただきます。

 

終演後の打ち上げでは「このユニットで別の場所でも公演したいね!」という意見も飛び交っており、いずれどこかの街で、植物とアーティストたちの一期一会のパフォーマンスが見られるかもしれませんね!

(AYU)