最近、まるで図書館と化した様なカフェが町のあちこちに点在しています。店員さんのほとんどかアルバイト。客の回転にも全く関心がない様に見えるので、お陰で肩身の狭い思いをせずに長時間粘る事ができるのですが・・。
そんな中、この間友人に連れていかれたカフェは、何とも趣がありました。
駅前のゴチャゴチャした飲み屋がひしめく通りの外れの一角、見過ごしてしまいそうな程小さな小さなカフェ、入口も小さいけれど、中に入ってもやっぱり小さなカフェ。静かに黙々と一杯のコーヒーを丹精込めて煎れている中年のご夫婦。
カウンターに座っていたら、後からほのかにBGMが聴こえてきました。
そこにいるご夫婦と同じ様な深い静かな響き・・。静かだけど、お腹にズンズン染み込む様な躍動するリズムも感じます。
奥さんの方が、『これ、私達のCD なんです。ロックなんですよ・・』とちょっと恥ずかしそうに。『これがロック?』と思わず聞いてしまいました。
そう、ご夫婦はミュージシャン、日本だけでなくアメリカやヨーロッパでもライブで演奏しているアーティストでした。
しかもジャンルは、ロック。ロックと言っても普段私達が耳にする様な、激しい音とリズムとは全く異質な世界があったのです。
しかも、2人がライブで演奏する曲はほとんど即興だと聞いて、またビックリしてしまいました。
『その場で心が震えないと、なかなか音にならないんですよ。震災があってから、なかなか歌えなくなってね・・』と奥さん。
その横で軽く頷きながら黙々とコーヒーを煎れているご主人。コーヒーカップは、ヨーロッパへ行った折りに気に入ったものを1客、1客買うのだそうです。
こういうロックも素敵だなって思いました。ほんの一時、静かな時間が流れていきました。
心がほっとした一杯のコーヒー。
ヨーロッパの香りのするコーヒーカップをぼんやり眺めていると、ふと遠い遠い記憶の片鱗、今の時間を越えたところから来る感覚が頭をよぎる瞬間がありました。
過去生って、やっぱりあるんだろうなぁ・・。
Egretta