アゲハチョウにまつわるお話、その三

 

虫の知らせとはよく言うけれど、それは本当のことかもしれない。 
 
去年のことだった。

 


マイルームの襖でさなぎになったアゲハが、いよいよさなぎから出て、羽が広がって行くのをじっくりと眺めた。 


そして、飛び立つ準備ができたころ、さあそろそろ旅立っておゆき、と窓を開けた。 
ミカンの木をはいずる芋虫が、大空を自由に飛べる蝶へと変容し、飛び立つその瞬間は何度見ても、とても感動的だ。 

 

でもその時は、何か嫌な予感があった。 
 
そう、黒い影が上空から急降下し・・・・・・ 
パクッ!!!!! 
カラスだった。 
 
それを自然の摂理といってしまえば、それまでのこと。 
でも、そう簡単には思えない。 


そしてまた、その頃、私の周りでは、何人かの方が肉体を去って行ったという出来事があり、どうしてもこの出来事に共時性を感じないわけにはいかなかった。 

 

何がいいとか悪いとかという訳ではないのだけれど、自然界からのサインというものはあるものだと痛感した出来ごとの一つだった。 

 

 

つづく